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20180228 今月の市況の振り返り

 

 

今月の市況の振り返り

 

◆概況

2月5日,6日とNYダウの大幅下落を受けNHK等のTVにテロップとして流れる等大幅調整をした日本株式市場ですが、こちらは「パウエルショック」や「VIXショック」等と散々他のメディアで語られ尽くされているので簡単に振り返ります。

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日経平均株価は前年10月中旬、市場(史上)初である16営業日連騰をしていた時期の水準まで遡りました。

バレンタインデーに2番底を付けて反発し、現在は11月以降の支持帯付近に落ち着いています。(下 時系列データ)

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NY発ショックの原因は「適温相場」の続きすぎ、パウエル氏の利上げに対する警戒だとか、それに伴いS&P500のオプション動向により算出される恐怖指数(VIX)の上昇、株の投げ売りが投げ売りを呼んだ等様々な説があります。

 

結果、ボラティリティが上昇し、多くのバランス型(リスクパリティと言うそうです)ファンドがポートフォリオのリスク調整の為組み入れ割合を減らす株式の売りを出した事、債券市場にて米国10年債利回りが3%付近まで近づいた事は事実です。(下 米国10年債利回り 5年チャート 右軸÷1000=金利 30/1000=0.03=3%)

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ちなみに最近アメリカの銀行預金金利を調べましたが、2.3~2.7%程度だそうです。

日本ではもはや無いに等しいものなので、むしろ新鮮味すら感じます。

 

◆VIXと悲惨な周辺

VIX(恐怖指数,ボラティリティ・インデックス、Volatility Index)とそれを取り巻くETN(上場投資商品,Exchange Traded Note)については、僕は2年ほど前に興味を持ち少し詳しく調べていました。

 

今回のショックで最も悲惨だったことは、VIXに関連したETNの破たんでしょう。

たった一日夜で-96%運用資産が値下がりしほぼ紙切れ同然の価格で早期償還となったNEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(2049)、このETNは「金のなる木」と呼ばれて設定来から3年半で4倍、底値からは2年で8倍の値上がりになっていました。

 

「金のなる木」と呼ばれていたカラクリは、このETNはVIX指数先物を売り建て(ショート)するので、一日毎にVIX指数先物に対し相関100%で-1倍の値動きをさせると言う所です。

平常時でのマーケットではVIX指数は10~17程度の範囲内で推移しますが、VIX先物は完全に指数に連動するということでは、非常に強いコンタンゴ(順ザヤ)状態にあります。

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VIX先物を1月毎に限月があり、毎月ロールオーバーしなくてはならないので、期近を安く売り、期先を高く買うというロールオーバーコストが嵩みます。

 

しかしこれはVIX先物を買い建て(ロング)していた場合であり、売り建てた場合は逆にロールオーバーに伴い収益が得られます。

 

強いコンタンゴ状態はマーケット営業日の85.8%を占めており、VIX指数をショートし続けてさえいれば無限に続くように収益が得られるのです。

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これが金のなる木のカラクリですが、実際は長大なテールリスクを孕んでいます。

この大きすぎるテールリスクにより僕は購入を避けてきました。

簡単な話、ショートポジションを取っているだけですから、大幅にVIXが上昇した場合、損失が理論上無限大になります。

 

VIX指数はマーケットが動揺している場合に50~70近くまで上昇します。

仮にVIX先物を15ドルで売り建てていた場合、30ドルまで先物が値上がりした場合、元本を全て失い破たんします。

 

今回、VIX・ショックでは適温相場ですっかり定着した10ドル前半から50ドルまでVIXが上昇しました。2月6日、VIX先物の値上がりが100%を超えたため、3年半積み上げてきた400%のリターンはあっさり一晩ではほぼゼロとなりました。

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オプションの売りと同様で、非常に高い勝率がありますが、一晩で破たんするリスクを内包している商品なのです。

 

僕が疑問を感じるのは、本ETNに対する知識が足りていない投資家が予想以上に多かったことです。一定数、このETNの値動きが何に連動しているかも知らず、「とりあえず上がり続けているから買う」という行動を取っていたように見受けられます。

 

本ETNは、

""NY株式市場に上場する主要500社をS&P(スタンダード・プアーズ)社が選別したS&P500のデリバティブ(金融派生商品)であるオプションの値動きにより算出されるVIX指数に連動するデリバティブであるVIX先物をショートポジションで保有し、VIX先物に対する-1倍の値動きを目指す。""

ということや、早期償還条項を知った上で投資していた投資家はほぼゼロなのではないでしょうか?

 

なぜ訳が分からない金融商品を、値動きだけ見て「上がる!」と買ってしまうのか。

マーケットの七不思議の一つです。ビットコインもそうじゃないでしょうか?

 

 

◆変化した個別株物色対象

話を株式市場に戻します。

 

先の暴落以降、投資家の個別株に対する目線が変わったように見られます。

1月末までは半ばバブリーで、12月、1月と私自身も信じられないパフォーマンスを上げたのですが(この暴落でその殆どを持っていかれていますのでどうぞご安心ください)、もはや「上がってなかった株」「なんかすごそうな株」がテキトーに暴騰するというような完全な投機資金余り、思惑主導の相場でしたが、そういった思惑主導だった銘柄はこの暴落以降、最悪のパフォーマンスになっています。

 

新たな物色対象として、好業績銘柄が強く選別されるようになってきている感じます。

思惑主導銘柄のほとんどが暴落前の株価まで少しも回復していないのに対し、業績が伴った銘柄はむしろ暴落後の方が派手に値上がりしている、と言うような状況です。

 

しばらくは強い業績銘柄が投資(投機)対象となり、思惑で吹き上げる銘柄は有れど以前の様な活況ではなくなっていると思います。

 

ブランジスタの様なアヤしい株が直ぐ2倍になり、誰でも勝てた相場は一旦はおしまいの様です。今後しばらくは、本当に勝ち残る利益を上げられる会社、それを割安水準で買うタイミングを見抜く選球眼が必要になると思います、投資家の実力がハッキリ浮き出る市況になるのではないでしょうか。